サッパリできない、理容業界
急成長する格安理容チェーンに「洗髪台設置義務づけ」条例相次ぐ…。(47news)
その裏には、客を取られている旧来の理容店側の「圧力」があるのでは、というのは
以前から言われていたが、とうとう新聞記事になるか。
激安チェーンでは髪の毛を掃除機のような機械で「吸い取りながら」切るため、
洗髪しないで切る。そこに目を付けられたようである。
ただ「飲食店から髪の毛が入るという苦情が来ている」というのは言いがかりに近い話で、
それは普通の床屋でも起こりかねないことだ。
要するに、消費者に受け入れられている激安理容チェーンを叩く理由を見つけて、
攻撃したい、ということ以外の何者でもなく、さすがに上記の記事もそこに言及している。
正直言って、理容は衰退産業のうちに入るだろう。
男性も美容室に通うようになってきている(そういう自分も生意気ながら美容室派)。
理容がもてはやされたのは、若者からお年寄りまで、みな同じ髪型でもよかった時代までの話。
現代で、10~20代の若者が七三分けやアイパーにすることなど考えられない。
それなのに、理容室は旧来の髪型の技量を競い、コア商品として謳いつづけている。
理容のもう一つのコアサービスだった「ひげ剃り」だって、
あれは「身だしなみとして、何かしらの行事前に理容に行って、髪も顔もサッパリする」
という習慣が元になっているのであって、いまやその需要は若者にはなく、
自宅のシェーバーで十分なのである。
実際、町の床屋でもひげ剃りを省略して価格を下げているところもあるようだし。
「オヤジの髪型」も「プロのシェービング」も求めない男の若者が美容室に行くようになれば、
必然的にオヤジがメインの顧客になる。(あとは子供か)
以前はたんまり給与を稼いでいたその年齢層も、不景気の波を浴びる今。
おこづかいが十分にあるわけでもない。
激安店がもてはやされるのは、どうせ同じ理容なら、
無駄なサービスを略して少しでも安く(そして早く)仕上がるお店のほうがいい、
というニーズの変化があるから。
しかし数十年、いや百年以上か、変わらぬ商売を続けた理容業界には、
この激変は受け入れられがたいのだろう。
言いがかりのような抗議までしないと、生き残れないほど
せっぱ詰まっている、という理容業界の現状が見て取れるのである。
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