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2015年9月

お大尽

「題名のない音楽会」の司会者が替わるということでボンヤリ見る。
スポンサーは出光グループ。
もともとテレビ東京で放送を始め、来年で50周年を迎えるという。

先日、有楽町にある「出光美術館」に行ってみた。
なかなかの賑わいを見せており、
ゆっくり見れるかというとそうでもないのだが(笑)、
都会の喧噪を忘れるにはぴったりの空間である。

中国の焼き物のかけらばかり展示する部屋もあり、
価値は正直よく分からないが、貴重なものなのだろう。

出光美術館を創設したのは出光興産の創業者。
蒐集した美術コレクションを増やした結果、
自宅に飾りきれずに美術館を作るという、
資産家にはよくあるパターンだろう。

ガソリンスタンドの経営には何の役にも立たない、
いわば「お大尽」の趣味だ。

ただ、こういった美術品や考古学資料というのは、
国家の力だけでは維持保管は困難で、
やはりこういう「お大尽」の力が必要なのだろう。

本業には全く関係がないが、
美術館や音楽番組の存在によって、
出光のイメージは向上する。

いわゆる「メセナ」というやつだ。
まあ企業活動の一環というといやらしく聞こえはするが、
こういった活動は、社会全体、
ひいては我が国、いや世界的にも役立つことになる。

昨今世間をにぎわすお金持ち達はといえば、
会社活動のことにばかり執着したり、
スポーツチーム経営に血道を上げたり、
はたまた遊び歩いたり政治の世界を冷やかしたり…。

ネット空間で貧乏人どもをバカにして遊ぶ不届き者もいる。
遊ぶのなら、もっと世間様のためになることをなさいな。
誰のおかげでお金持ちでいられるか、ってことですよ。
あなたが握りしめる札束の陰で、
どれだけの庶民達が汗と涙を流しているか。

目(メ)から流す涙(ナみだ)の間に汗(あセ)がある。
メ・セ・ナはお大尽の責務だと思うなぁ。
貧乏人はそう思う。一生そんな世界とは無縁だけど…

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私のルパン三世奮闘記~アニメ脚本物語~

河出書房新社、2000円(税抜)。

10年前から刊行されてきた「ルパン三世officialマガジン」連載を
一冊にまとめたものとのこと。

著者・飯岡順一は、
アニメ「ルパン三世」のテレビ第1作から関与する「文芸担当」。

ストーリーなど、番組の展開を考えながら、
テレビ局と脚本家の調整役などを行う、
「プロデューサー」に近いポジションのようだ
(ただし、プロデューサーは別にいる)。

読んでみると、感情の起伏の激しい人物のようで、
周囲のスタッフとの衝突寸前の事態を何度か経験している
(実際は「調整役」のため、腹に収めて済ませたようだが)。

それ以前に、文章からして気に入らない人物には容赦ない。
あの巨匠・「宮崎駿」は特に快く思っていないらしく、
高名な「カリオストロの城」について、
自分が関与した映画化プロットを盗用した…
とまでは言っていないが、それに近い表現で述懐し、
「脚本をメッタクソにする人」とまで記す。

これでも単行本化するにあたって、
連載当時のキツい部分をだいぶ削ってマイルドにしたらしい。

その連載当時の文章に、もの凄く興味があるが
それはぜいたくというものか。

一方で、大和屋竺や浦沢義雄、柏原寛司(いずれも脚本家)
といった信頼を置く人々には、賞賛を惜しまない。

まあ、このくらいの「クセ」ある人物だからこそ、
40年近く、同一番組に関わることが出来たのだろう。

今では傑作の誉れ高い「緑ルパン」第1シリーズも、
当時は低視聴率にあえぎ、制作局・よみうりテレビの社員から
関西弁で責任を追及される憂き目に遭う。

一方で、日本テレビが制作した第2シリーズ(赤ルパン)は
初回から25%の高視聴率を稼ぎ出し(途中で30%突破)、
3年間のロングラン放送を達成する。

意外だったのは、番組では「監修」とクレジットされていた
映画監督・鈴木清順の存在。
実際は名前だけだろう…と思っていたのだが、
本当に脚本会議に毎回顔を出し、ダメ出しもしていたそうだ。

よみうりテレビ制作に戻った
「ピンクルパン」こと「PART3」は視聴率もあまり良くなく、
1年間で終了するが、途中で映画「バビロンの黄金伝説」も制作される。

その後、今まで続くテレビスペシャルでも、
著者は離脱と参加を繰り返しながら関与を続けていく。

またその間には、フランスでのリメイク企画「ルパン8世」
制作に向け、モンキー・パンチらと1週間パリに滞在。
その滞在記にだいぶ紙幅を割いており、リアルな分、読み応えがある
(なお著者はプロジェクトから外れたとして、
その後の展開が書かれていないが、
「ルパン8世」の企画は途中で頓挫してしまう)。

このように、長年にわたってアニメ「ルパン三世」に
携わってきた著者でしか書けない事柄が多く散りばめられ、
「こういう作り方をしていたのか」という発見が多かった。

ただ、各シリーズにおいて脚本家ひとりひとりに焦点を当て、
作品を逐一解説していく部分はやや冗長に感じる。

また、映画「ルパンVS複製人間」にほぼ触れていないこととか、
いわゆる「押井守版ルパン」の説明が不足していたり
(著者としてはもはや触れたくないのかもしれないが)、
イザコザで悪名高いOVA作品「風魔一族の陰謀」を
完全スルーしているのはちょっと残念。

ほかにも、登場人物の説明が不足していたり、
時間軸が行ったり来たりして読みにくい。
恐ろしいほどに誤植が目立つことは致命的ですらある。

このあたり、この単行本に、著者のような優秀な「文芸担当」が
必要だったのではないか、と思ってしまったほどだ。

何はともあれ、また「ルパン三世」のテレビアニメを見たくなってしまった。
青春時代(ろくでもなかったけどね)を思い出す。
DVD借りてみようかな…。

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