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ふわっと、小さん

12月15日。BSスカパー!で放送された「三遊亭円生・掛取万歳」は新聞広告も出ていたが、
実はその前に「落語道 襲名」という番組も放送されていた。

落語協会が運営に関与する「寄席チャンネル」制作の番組で、実際には再放送。
円生の落語とセットで見てもらおう、という魂胆の編成だったようだ。

主役は「柳家小さん」。
小さんと聞くと大概の人は、坊主頭にまんまる顔の「あさげダヌキ」を想像すると思うのだが、
それは「先代」の五代目小さんである。
今回の主役はその息子である、当代の六代目小さんだ。

番組はまず、先代小さんの人となりをひもといていく。
3人の証言者、三遊亭圓歌、三遊亭金馬、鈴々舎馬風、
そしてナレーションも務める孫の花緑(当代小さんは叔父にあたる)へのインタビュー。

さらに本人の高座映像、「笠碁」。鮮やかな高座である。

続いて当代の小さんが、先代の墓参りをする様子が映る。
「私が小さんになるときは…(この墓地に)来たかな?」
「月命日に来るほど、信心深くもないもんで、あいすいません」。

その後は、当代小さんへのインタビューが続く。
話題は当然、先代、そして「父」である小さんとの関係。

落語家なり相撲取りなり、世襲をする人は、
父親のことを「師匠」「親方」と、
血縁をあえて否定するような呼び方に変えてしまう人も少なくないが、
小さんは「おやじ」と臆さず呼ぶ。
15歳の時に弟子入りし「師匠」と呼べなかったと言い、
それが今でも続いているのだ。

実に、飄々としている。

ただ、話題が「襲名」に移り、
「誰も小さんの名を継がないなら、俺が継ぐ」と語り始めたところだけは、
不思議な「気迫」を感じた。

先代の死後、一番小さんに近いはずだった小三治が、
「俺は死ぬまで小三治でいい」と襲名を辞退。

いっぽうの三語楼=当代小さん。
誰も「三語楼が小さんを継ぐべき」とは言わなかった。

「俺は、長男じゃねぇか」。
そして、小さん襲名に、名乗りを上げるのだった。

ただ、一般のイメージは先述のように、
未だに「小さん」といえばまず先代であり、
当代小さんはまだまだ存在感が薄い。

正蔵や文楽など、大名跡を継いで「しまって」、
けなされることが多い落語家の一人、といえる。

先代は言うまでもなく「名人小さん」であり、
CMやテレビドラマなどでも活躍、
落語協会では会長の職に長くとどまり「長期政権」を誇った実力者であった。

それにひきかえ、というと失礼だが、
当代小さんはあまり目だった実績はなく、
現状は「名前負け」の状況にある。

むしろ、小さんの名を要らないと言った小三治のほうが、
名人の呼び声高く、とうとう落語協会の会長になった。
そもそも「柳家小三治」は、「柳家小さん」の前座名のはずなのに…。

しかし、この番組でインタビューに答える当の小さんは、
総じて飄々としていて、気負いをあまり感じない。

場面は変わって、寄席・浅草演芸ホール。
そこで小さんは、
若旦那、と言った風情のふわっとした「替わり目」を演った。

高座がハネたあと、寄席の前で最後のインタビュー。
「ご隠居にはなりたくない。ずっと落語をやっていたい」。

小さんは「吉田類じゃないけど、もう一軒、二軒…」と言いながら、
酔ってもいないのに、浅草の街に、ふわっと消えていくのだった。

番組では取り扱わなかったが、 小さんは2席以上の落語をミックスして、
新しく作り直した落語にトライするなど、新しい試みも行っている。
客を「おっ」と言わせる企みも、「ふわっ」とやっているのだ。

当代小さんはどうも「貶すのが正しい落語ファン」みたいな風潮も感じている。
俺なんかひねくれてるからそういうのを見ると「フン」と思うんだけど。笑

そういうハンパな御通家を「ギャフン」と言わせる日が楽しみである。

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