トヨタはお嫁に行きました
河北新報が連日「トヨタ自動車東日本」に関する記事を掲載している。 世界企業・トヨタが宮城にやってきた!とフィーバーぶりは半端ない。
河北は「東北地方を代表するブロック紙」を自認するが、 ほとんど宮城県内でしか売れていないので、宮城県紙と考えて差し支えない。 だから「富県・宮城がまた『富』を手に入れた!」と喜ぶのは当たり前の話だろう。
トヨタ東日本は、旧来の「関東自動車工業」が母体となっており、 岩手県金ヶ崎町にある関東自動車の工場も、 トヨタ東日本の工場となった。
しかし当然ながら、岩手県紙の岩手日報は「トヨタ自動車東日本」の誕生を、 あまり喜んでいるフシはない。(*)
トヨタ東日本の業績がどれだけ好調でも、 本社を宮城県に置く同社が納める税金は、全部宮城県に入るからだ。
また、トヨタ自動車東日本は、「関東自動車工業」のほか、 もともと宮城県にあった「トヨタ自動車東北」「セントラル自動車」の 3社が合併してできたものである。 宮城県には工場が2つある。下請け工場なども入れれば、 その経済的規模は岩手県とは比べるべくもない。まあ、もともとの経済力が違いすぎるし、地理的にもインフラ的にも、岩手は宮城には勝ち目はない。
旧来から「経済の負け組」一次産業県だった岩手県。それを返上すべく、関東自動車の誘致などで、血のにじむような努力をしてきた岩手県のお役人は、これまで「トヨタさまさま」だっただろう。
しかし、「トヨタ東日本」の誕生により、おいしいところを全部宮城県に持って行かれ、 モチベーションはだいぶ下がっているのではなかろうか。
幸い、なのか、トヨタの車は売れなくなっている。 関東自動車金ヶ崎工場でも海外輸出用の車を製造していたそうだが、 日本車が円高で売れないのは、ご諸兄はご承知だろう。
それでも、これまで官民力を合わせ、さんざん税金と労力を投下してきたこともあり、「東北6県全体が自動車生産基地となる」野望を、 岩手・宮城以外の県も巻き込んで考え続けているようだし、岩手県は自動車産業を基幹産業として引き続き重視していくのだろう。
ただ「東北を自動車のふるさとにする」という目標への道のりは果てしなく遠い上、自動車がこれ以上売れなくなるのなら、 その道を闇雲に進み続けるのは、いささか徒労という気もする。
この際、「トヨタが来た」宮城県にはがんばってもらい、 岩手は岩手で、「トヨタは伊達の国にお嫁に行ったんだ」と割り切って、また新たな成長のタネを追い求めるのも一つの手ではないか。
まあ、それを見つけるのは容易なことではないけれど…
*岩手日報は、13日から急に思い出したかのようにトヨタ東日本を記事にし始めている。「あわて日報」と揶揄されがちな岩手日報だが、今回は、まわりが落ち着いてからじっくりと分析し始める「岩手らしい」態度を見せている。
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