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さようならつかちゃん

ニッポン放送のアナウンサーとして有名だった塚越孝(フジテレビ社員)が26日死去。
57歳であった。

ZAKZAK等の情報を総合すると、
26日、午後2時からフジテレビ本社内で
動画サイト「見参楽」の収録があったが顔を見せず、
午後7時前にトイレの清掃員が、
個室のドアが閉めっぱなしになっているのを不審に思い、
警備員に問い合わせた。

ドアを開けると、男性がスカーフ(電気コード説もあり)で首を吊っていた。
それが塚越だったという。
足もとには「ご迷惑をおかけします」と書かれた遺書もあったという。

塚越といえばニッポン放送。
「オールナイトニッポン」で頭角を現し、「つかちゃん」の愛称で親しまれる。
朝番組「朝からたいへん!つかちゃんです」が知られるところだろう。

そんな塚越を襲ったのが「ライブドア事件」。

フジテレビの筆頭株主であったニッポン放送を狙った、
当時の堀江貴文CEOとのバトルを薄氷で乗り切ったものの、
フジサンケイグループは組織改革を迫られる。

フジの子会社となったニッポン放送を身軽にさせるため、
ベテラン級を中心に、ニッポン放送に在籍するアナウンサーを、
フジテレビに移籍させることとなった。
要するに「口減らし」要員だったのだろう。
その中に塚越もいた。

当初は引き続きラジオを担当していたが、
その後テレビ番組にも進出。

しかしトウの立った塚越に活躍の場はあまりなく、
ニュース番組のナレーションや、
BSフジでの短時間ニュースのキャスターなどが主な業務となる。

結局2011年にはアナウンサーの職を辞し
(解かれたのかどうかは不明)、
事業部に転籍。部長の職にあった。

ただ、塚越は活躍の場を「インターネット」に移しており、
アナウンサー時代から「ポッドキャスト」で配信される
落語番組「お台場寄席」の進行役兼プロデューサーとして活躍。

自ら選んだ落語家の一席の前後に、
ラジオ時代同様のまろやかな、しかしハキハキした口調で、
落語への情熱を語り尽くしていた。

イベントも自らプロデュース。
ジョークまじりの前口上、
「あのライブドア事件で、フジテレビにやってまいりました塚越です」は、
塚越のトレードマークになっていた。

一節には、話題を呼んだ「三遊亭圓生名跡」に関する一連の騒動を
イベントに仕立て上げた「仕掛け人」だったのでは…と目されている。
それが真実であれば、落語界の盛り上げは成功したと言えよう。

事業部移籍後もポッドキャスト出演は継続していた。
フジテレビ運営の動画サイト「見参楽」としてリニューアル、
落語以外にもさまざまなコンテンツを用意し、
塚越はそれらを統括する立場でもあったようである。

動画では「つかちゃんの酔いの口ワイド」もラインナップ。
太田和彦や吉田類ばりに、首都圏の飲み屋をレポート。
ほろ酔い、というよりも泥酔に近い状態で店員や客とおしゃべりする内容は、
アナウンサー時代ではできなかったものであろう。
最近はお気に入りの若手落語家も出演させていた。

アナウンサーではなくなっていたが、
それなりに塚越は番組作り、イベント立ち上げに精を出し、
視聴者とのコミュニケーションもはかっていたはずである。

それがなぜ自ら、命を絶ったのか。
最近になって塚越は入院をしている。
すぐに復帰していたが、病があったのか。

それとも、やはり「やりたいことができない」
焦燥感があったのか。

首を吊ったその日も、塚越は収録があったという。
それらを整理してから事に及ぶ、というなら、
ある程度理解はできるのだが、そうではなかった。

「見参楽」のうち、塚越の出演する番組はすでに見られなくなっているが、
直前まで配信されていたものがダウンロード済みであった。
最後の「お台場寄席DOUGA」を見たところ、
相変わらず快活な口調で、進行役を務めている。
死を意識していたとは、どうも思えない。

ただ、本人の懊悩は、他人には分かるものではない。
番組の収録を無視して、トイレで命を絶つ…
衝動的な行動だったのかもしれない。

かつての在籍局・ニッポン放送は
27日朝にこの話題を伝えた。
(その時点では自殺とは伝えなかった模様)

皮肉にも、「朝からたいへん」な話題に、
自らがなってしまったのである。
ラジオ人らしい結末、といえばそれまでだが、
それが「自死」ではあまりに寂しい。

おととし、神楽坂の赤城神社で行われた番組収録に、
幸い参加することができた。写真撮影も許されていた。
Tsuka
左が塚越。中央は三遊亭円丈、右は三遊亭鳳楽である。

例の「圓生襲名バトル」をイベントとしたもので、
後日ポッドキャストで配信された(当時は音声番組)。

55歳だが、若々しかった印象がある。

死を選ぶ理由が何だったのか知らないが、
もっと落語の魅力を、我々に伝え続けて欲しかったし、
ラジオパーソナリティに戻る方法も、いくらでもあったのではないか。

なんとも、残念である。

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