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水沢の名店「銀蝶」

奥州市水沢に出張。(どうも「水沢市」と言いたくなるが)

いつも4号線沿いの大手チェーン店系で昼食をとっていたが、
やっぱり地元の有名な店へ…ということでリサーチすると
ラーメン店で「銀蝶」という店があるとのこと。

「おばちゃんがやっている」「日によって味にムラがある」…
これを悪評と取るか、面白そうだ、と取るか。
もちろん後者である。

値段が高い、威勢がいいだけの、
東京の脂こってりラーメンばかり食ってる奴らには
一生分からぬ味を堪能してやるぞ、と意気込んで、
混み合うという12時をずらし、11時半頃行く…
つもりだったが、訪問は結局12時前に。

場所はJR水沢駅の前。といっても「商都」と呼ばれた
(いまは郊外化で見る影もないが…)東口ではなく、
国道4号沿いの西口である。まあ、かつては列車で訪れる店だったのだろう。

Ginryu2


なんとも不安になる店構えだ。
しかし、車がけっこう路駐している。
評判店の証拠だ。
ただ車は停めにくい…
後ろに駐車場はあるが、そこまでの通路が狭い。
なんとか車を置き、いざ入店。

狭い店だ。カウンターと、窓を向いたテーブル。
あわせて7人くらいしか座れない。
すでに5人くらい客がおり、全員ジロッとこっちを見る。
手荒い洗礼である。

幸い、奥の席が空いているので着席。
奥の厨房から出てきたのは齢70歳は確実に越えているであろう
おばちゃん、というかおばあちゃん。

メニューを見るとラインナップは少なめ。
お酒も出すようである。
この日はラーメンの大盛り600円を注文。

水はセルフサービス。
店の奥の上の方にある液晶テレビではNHKが流れている。
カウンターの一番奥に無造作に置かれたスポーツ新聞に目を通す。
あまり新聞を占領するクチではないのでざっと目を通すだけ。

店内の内装に目をやる。外と違い、意外に清潔な印象。
店内のさらに奥には小上がりもあって、
待っている間に中年男性がズカズカ入っていった。

目の前に「陳建一」のサインの額縁。鉄人ファンにはたまらん。
意外に細々とした筆跡で「銀蝶さんへ 菜心是愛 陳建一」と書かれている。
チンケンもここのラーメンを食したのか…ワクワク。

ちなみに厨房にはもう一人オジさんがいたようだ。
夫婦で経営しているようだ。

片隅には、ジュース用の小ぶりな冷蔵庫。
中をのぞくと卵パックが入っていた。
メニューを見る限り、タマゴを使う料理はなさそうだが…。
家庭用なのか、スペシャルオーダー用なのか。

そんなことを考えていると「ハイ、大盛さん」と
オバちゃんがラーメンを運んできた。
自分が大森さんになった気分である。

Ginryu1


少し濁り目で、脂が浮かんでいる。
チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔。
丁寧な仕事ぶり…にはほど遠い見た目だが、
期待はさらに上がる。

レンゲはないので(こういう店ではありがちなことだ)
どんぶりからスープを啜る。
ネットでは「しょっぱい」という情報もあったが、
それはなかった。香りは少しクセがあるか。
麺はやや太めで、存在感がある。

驚くべきはチャーシューである。
非常に分厚く、食べ応えがある。

ホロッと口の中で砕けるチャーシューや、
トロッととけるようなチャーシューが流行っているが、
そんなものはこのチャーシューに比べたら、
甘やかされていると言うべきだ。

肉を食べている、という気になるチャーシューが
2枚入っていて、食べても食べても減らない。

チャーシューメンは800円だそうだが、
このチャーシューがどれだけ入っているというのか。

ときどきメンマやネギをかみ砕き変化を楽しみ、
終盤、海苔とスープを一緒に口に入れる。
広がる香りに、水沢からははるか遠くにある磯を思う。

気がつくとどんぶりの中はあまったスープだけになっていた。
体のために飲み干さなかったが…。

けっこう、個性のあるラーメンであったが、
なるほど、また食べたくなる味だ。

コップの水を代わりに飲み干し、
お会計。600円をおばちゃんに渡すと
「ありがとうございました、どうもね…」。

この「どうもね」が、たまらない。
ますますまた来たくなるではないか。

少し車を駐車場から出すのに難儀しつつ、
3代目和の鉄人・森本正治がかつてWEBサイトで提唱していた
「客が店に抱く印象は、味3割、あとはアトモスフィア(環境)だ」
という説の信憑性をますます強くしたのであった。
いや、味もよかったけれど。

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コメント

あいにくワタシ、アナウンサーでも放送局員でもありませんが…
(むしろお知り合いになりたいくらい^^;)

投稿: ANNEX | 2012.06.18 05:55

コメントの表現が、まさにアナウンサーとして基本を備えていますね!いまの若い奴らのお手本です・・・。私も水沢のお店に行きたくなりましたあ~

投稿: 久々の投稿 | 2012.06.17 21:34

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