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落語界の雪解け

落語芸術協会(以下芸協)は、今夏から、
円楽一門会(以下円楽党)、落語立川流の落語家を、
芸協主催の寄席興行に出演してもらうことを決めた。(NHK

これは落語界にとってはエポックメイキングな出来事といえよう。
先代・三遊亭円楽、立川談志という2大・悪の枢軸…じゃなかった、
2大カリスマの死によって、落語界の「氷の壁」が、溶け始めた。

円楽党・立川流はもともと「落語協会」(ややこしいが、
落語芸術協会と競合する団体)にいた落語家達から、
三遊亭圓生率いる一門が分裂、次いで談志一門が離脱して形成された。

いわゆる「落語協会分裂騒動」である
(Wikipediaにリンクするが、何も知らない人が、これを1回読んだだけでは理解できないと思う。
それくらい、ややこしい話なのだ)。

その成り立ちから、円楽党・立川流は、
いわゆる「寄席」に出してもらえず、
ホールを回る「寄席知らず」の集団となってしまったのである。

しかし、円楽党は「笑点」の流れで先代円楽、楽太郎(現・円楽)が売れ、
立川流からも、テレビで火がついた志の輔や、
志らく・談春・談笑といった人気者を輩出している。

寄席など知らずとも、落語はできる、ということを図らずも証明してしまったのだ。

いっぽう、寄席に出られる落語芸術協会は、
落語協会と比べるともともとの力が弱く、
寄席の中でも「鈴本演芸場」(上野)には出られない、
などのディスアドバンテージを抱えている。

また、春風亭昇太などの売れっ子はいるものの、
落語協会と比べると層が薄いと言われていて、
芸協主催の興行は客の動員が弱い、とされていた。

先代の円楽が死んだ後、
芸協会長の桂歌丸らが中心となって、
円楽党との合流を検討したこともあったが、
「分裂騒動」が忌み嫌われ、お流れとなっていた。

立川流にしても、弟子の昇進など全てを取り仕切っていた、
「将軍様」談志の死去後は、
談志という強力な君主あってこその団体だったはずが、
幹部落語家の合議制という、民主主義的な姿勢に変貌している。

いずれ、円楽党・立川流、どちらも、
大黒柱を失い、今後の興行に不安があったことは事実だろう。

興行力を失いつつある芸協、
今後に不安を抱える円楽党・立川流。
双方の利害が一致した、今回の決定といえよう。

なおNHKの報道では、円楽党・立川流の反応は不明だが、
NOと言う理由はなさそうだ。
それは、先述通り、この2派が「寄席知らず」と言われてきたからである。
いくら人気者を輩出しようが、落語の本拠は「寄席」であることに変わりはない。

また、ホール巡回などの場合、オファーを待つか、
自分たちで興行を組むかせねばならない一方、
寄席に出演することができれば、
落語家達にとっては安定した仕事が得られることにもなる。

目の肥えた寄席の客との出会いは、
2派の落語家には大きな刺激となることも間違いない。

とはいえ、同業者批判も軽く口にしながら古典で爆笑を取る志らくや、
古典をかみ砕き、きわどい表現で昇華させてきた談笑など、
「寄席知らず」だからこその芸を磨いてきた落語家もいる。

少なくとも、志の輔・談春・志らくは、
その名前だけで客が来るから、寄席に出る必要はない。
かえって、今まで来ていた客が寄席には入れなくなるかもしれない。

とくに、談志信者を自認する志らくなどが、
寄席出演に反対することも容易に予想される。
彼らの態度は注目されるところである。

今回の決定では円楽党・立川流は「ゲスト」、
つまり「客演」である、というのも、少し気になるところである。

といっても、いままで寄席(寄席にも運営者がいる)と接点のほとんどなかった
2派がいきなり単独興行を打てるはずもない。
落語協会との関係もあるだろうし。

本来ならば、落語協会なり、芸術協会なり、
「合流」するのがベストなのだろうが…
失敗した経緯もあるし、合流は難しいんだろう。

いずれ、「雪解けの始まり」であることに間違いはない。
「落語協会分裂騒動」から30年。
それを引き起こしたと言われる先代円楽、そして談志は、
この雪解けを、どう見ているのか。
また雪を降らせようとは、よもや思っていないだろうが…。

(追記)立川志らくはこの報を受け、
Twitterで「私は寄席には出ない」と表明している。
談志が死んだ後になって、出てくれと頼みに来るのは気に入らない、
という趣旨で、寄席の姿勢を批判している。
ただし、弟子に対しては、勉強のためにも寄席に行くよう指示するし、
芸協にも感謝する、としている。

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