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吉本の社長が考えていること

日経ビジネスが吉本興業の大崎洋社長にインタビューしている。

ずばり、先日記者会見で、
唐突に社長が口にした「島田紳助」の復帰に関するコメントについてである。

大崎社長は「ウチは家族みたいな経営」「紳助だって家族だった」。
だからこそ、帰ってきてほしい、と言ったのだ、という。

いわく、彼が起こしたことは確かに問題だけれど、
家族を見捨てるわけにはいかないのだ…。

どうだろう。読む人によって評価が分かれるところとは思うが、
「身内に甘い」のそしりは、まぬがれそうもないコメントではなかろうか。

それをあえて、大崎社長は日経ビジネスの問いに、
記者会見と同じ趣旨の答えを返したのである。

「私はマネージャーひとすじだった。経営者は向いていないと思う」…
なんとも頼りなげな言葉の後に続けて、
大崎社長は「設備投資」や「上場維持コスト」「株主への迷惑」といった言葉を口にする。

おおよそ、お笑いプロダクションの経営者が言うことではないように感じるが、
「一部上場(だった)企業」の経営者の言葉としては、
至極当たり前のフレーズである。

なぜ上場をとりやめ、TOB(株式を市場から回収し非上場化すること)したか。

右肩下がりの経済の中、新しい事業にも飛び込まなければならない。
資金調達はしないといけない。

しかし、製造業などと違い、「設備投資」をする必要はほとんどない。
コストの大方は人件費に消えていく。
吉本は「パーソナリティを売る商売」だからだ。

企業が上場する最大の理由は「資金調達」であるが、
設備投資がなければ、大型の資金調達をする必要はない。

しかも、社長の言うように「上場=買収されるリスク」となる。
スポンサー程度の買収ならいいが、
乗っ取りレベルになると話は変わってくる。
極端にいえば「吉本興業」という社名すら消滅するおそれもある。

株主への迷惑が…とも社長は言うが、
そもそも株式は損を被るリスク前提で買うものなので、
それは二の次で、とにかく大崎社長はじめ、
幹部は「吉本興業という会社を守りたい」のだろう。

それでも、もう昔の吉本興業じゃない、と大崎社長は言う。
社会のグローバル化を肌身で思い知ったのだろう。

「アメリカでは1時間番組で3億円の予算を使うこともある」とも。
これは、昨年吉本の肝いりで始めた「サタデーナイトライブJPN」の元祖となった
米国の長寿番組「サタデーナイトライブ」のことだと思われる。

90分番組を作るために、数十人の構成作家が大量の台本を書き、
そのごく一部だけを使う。
番組ではアーティスト、俳優、コメディアン、一流のエンターテイナーが顔をそろえる。

3億円もかかるはずだ。
しかしアメリカのショービズには、コストを回収する仕組みがきちんとある。

しかし日本ではまだまだ(もはや?)難しい。
「JPN」も毎週放送はできず、月1回放送に甘んじている。

吉本といえど、手探りなのだろう。
しかし昔ながらの商売を続けていても、先細りするだけ。
その中で、次の世代へとつなげていかねばならない。

吉本興業は大企業ではなく、中小企業だ、とも。
世界に打って出るといってもまだ緒についたばかり。
ソニーやトヨタに肩を並べているわけではなく、
また、そのつもりもないだろう。

「紳助コメント」への世間の風当たりも勉強になったという。
吉本興業は「家族の会社」と思っていたが、
世間との考えには大きな隔たりがあった。

中小企業のつもりでいても、体は立派な大企業。
大崎社長自ら、まだそのあたりを計りかねているのだろう。

以前弊ブログにて「黒い吉本」という文章を書いた。

創業から今に至るまで、任侠(暴力団)とのつきあいがゼロだったわけではない。
まあ、言えることと言えないことと、いろいろあるだろうから
これ以上の詮索はしない。

ただ、上場をやめたからといって透明性が求められないわけではない。
大崎社長自ら、吉本興業は昔と違うんだ、と宣言したのだし。

非上場化したことで、肩の荷が下りて、つい「紳助帰っておいで」と言いたくなったのだろうが、
「うちは中小企業だから、芸能プロだから許される」…
そうはいかないレベルに、吉本という会社が達していることは認識すべきだろう。

商才には長けていたという島田紳助に、
「経営者」として吉本興業の未来を任せてみる…
紳助が家族ならば、大崎社長はそこまで考えてもいいんじゃないか。
ただしそれを実行すれば、もっと強い風当たりが吉本を襲うだろうが…。

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