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林家正蔵・林家三平兄弟会

奥州市・Zホール中ホールで12月9日午後2時開演。

本日は午後と夜の2公演あるとのこと。
まあ、夜の部の方がいいんだろうけど、
あまり遅く帰りたくもないので、午後の部をチョイス。
仕事をやりくりして、奥州市水沢に向かった。

事前情報では、当日券もあるが午後の部のチケットが残りわずか、とのことで、
ホールに着くなりすぐにチケットを購入。
全席指定だったが、確かに後ろの方しか空いていなかった。

1時半開場。
なんで席が埋まっているのか理由がわかった。
「高校生」の招待客が半分以上、中ホールの座席を埋めていたのだ。
学校寄席に出席する父兄の気分である。

やはり開場前から騒がしい。
しかしこれは別に高校生じゃなくても一緒である。

2時開演。緞帳が上がると同時に拍手が起こる。
別にしなくてもいいのに…。

前座は「林家まめ平」。正蔵の四番弟子だそうで。
「まるで校長先生になった気分で…」と言いながら、
「世辞の一つでも…」おいおい、またまた「子ほめ」か。

岩手に来る落語家の前座は8割方「子ほめ」を演るって誰か教えてあげてほしいよぅ。
たまには「道灌」とかやる前座はいないのかね。とほほ。

高校生のほうに目をやると、落ち着きない子達もいる。
前方の右側のジャージ?の男子の集団がやや気になるが、
まあそれほどうるさくしているわけでもなかった。

「赤ん坊だか白ん坊だか黒ん坊だか…」と言った途端、
変な笑い声が高校生から響いた。
さほど面白いフレーズではない。
誰かのあだ名か、何かのキーワードだったのか。

続いては弟・三平の登場。
お初であるが、二代目らしい華、オーラが感じられる。

結果から言えば、持ち時間35分間で落語をやったのは終わりの5分間だけで、
それより前はずっと漫談と客いじりであった。
名前も芸風も、パパ譲りである。

上野駅で女子高生に顔を見られ「あっ!」と言われた、という話題から入り、
学校寄席でイキった学生に「俺はオナラでドレミファソラシドができるよ」と言われ、
やらせてみたら「ドが出ないで『実』が出た」。
これまたパパ譲りな小咄に、高校生も、後方のおじちゃんおばちゃんも大ウケ。

その後は里見浩太朗、笑福亭鶴瓶、パックンマックンのパックンの話などを、
モノマネを交えながら軽妙に。

太秦での里見浩太朗の小咄。
「白ヒゲをつけた黄門様の里見さんを子供が指を指し『あっ!』。
 何だろうと見てたら『カーネルサンダースだ!』」。

「クイズです、何かを食べる仕草をするから当ててみて」。
口に入れたものを、手で引っ張ると伸びる仕草。
何でしょう、といって高校生に手を上げさせる。
「もち!」ブー、正解は『ピザ』です。

あつあつのソバを食べツユを呑む仕草を音つきでやってみせ、
当てさせる。「めん!」メンじゃ広すぎるでしょ、
『めん』どうかけないで。客爆笑。

「冷やし中華!」ツユないでしょ、ボケなくていいから!
「そば!」ブー、正解は「うどん」でした。
…まあこれは読めたな。

「じゃあ、誰かそばを食べる仕草をやってみない?」
ちょっと落ち着きの足りない集団の一員が手を上げた。
「キミ、ガタイいいね」。いわゆる「ガキ大将」「目立つ子」タイプの学生。

高座に上げさせ、座布団にまで座らせて、そばの食い方をレクチャー。
あとは想像通りの展開である。

学生に箸代わりに使わせた扇子をプレゼント。
「あと残り時間どのくらい?」と聞いて、やったのは「味噌豆」。
がっちりウケを取って、緞帳が下りた。

ちなみに「国分佐智子」の話は一切しなかった。
もっと言えば、彼の番組「海老名さん家の茶ぶ台」は、
岩手ではほとんど放送されていないことも書いておこう
(毎週ローカル番組で置き換えられ、ちゃんと放送されたのは1回だけである)。

15分後の仲入り後、兄・正蔵の登場。
紀尾井ホールでド真ん前で見て以来である。
思えばあれがまともな「落語童貞喪失」となったのだなぁ。シミジミ。

拍手が鳴り止むと、「あの震災があってから…」と
神妙な口調で語り出した。

これには、不意を突かれた。
きっと弟いじりから始めるだろうと思っていたからだ。
それを全く無視するかのような静かなマクラ。

といっても地震の話をし続けたわけではなく、
「しゃべる機械」の話へ。

家電販売店でしゃべる体重計を試していると、後ろから体のでかいおばさんが
「早くあたしにも試させなさいよ!」。
こわいなあ、それにしてもでかいなあと思ってゆずって、
見ていると体重計がしゃべった。「お一人で乗ってください」。
客席大ウケ。

羽織を脱ごうとするところで女子高生のアマキンな笑い声。
どこもおかしくないけど…。
うまく脱げないように見えたのだろう。

そんな中でも客いじりなど一切せず、
「古典落語を聴いていただいたので、新作落語でお楽しみ下さい」。
といってはじめたのは桂三枝作の新作「読書の時間」。

本棚で司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を探す夫。
いくら探しても見つからない。妻に聞くと
「息子のツトムが学校に持っていったわよ」。

学校の国語で「読書」をやるので、一冊本を持っていくことになっていたという。
夫はそれを聞いて青ざめる。
「息子に連絡付かないか?あの本には指一本触れさせるな」
「まさかへそくりでも入っていたの?」
「へそくりならまだいい」。

実は「竜馬がゆく」はカバーだけで、
中身は「官能ポルノ小説」だった。

息子は教室で先生にうながされ「竜馬がゆく」を朗読しはじめる…はずが、
なにやら様子がおかしい。「女の腰に手を回し…」。

先生は「竜馬がゆく」にそんなシーンあったか?と言いながら
「50ページ飛ばしてみろ」。飛ばしても出てくるのはエッチな文章ばかり。
結局、中身が違う本であることが分かってしまう。

帰宅後、息子は親をなじることもなく、優しくなだめるのだった。
息子は父親に、これを読んでみたら…といって「たそがれ清兵衛」の本を渡す。
開けて見てみると、やっぱりカバーだけだった…。
よりくわしい筋はこちら(伊達と酔狂)。

「竜馬がゆく」であるはずの本を開いた息子が、並んだ文字を見て驚愕。
その表情を正蔵が演じるたびに、大きな笑い声が起こった。

客の半分以上が高校生ということもあって、
分かりやすい新作を選んだのだと思うが、選択は間違っていなかったと思う。

それにしても、「動の三平」「静の正蔵」といった感じで、
対比がものすごかった。
漫談に客いじりで突き通した三平、いっぽう新作で直球勝負した正蔵。
海老名家らしさで笑わせた三平、持てる地力を披露してみせた正蔵。

半ば学校寄席のような公演でありそれでハードルはさらに上がったはずだが
学生達もよく笑っていたことは、後ろから見ていても分かった。

正蔵・三平を「恵まれた二世ボンボン兄弟」だと思ってナメている客や噺家は数知れず
(はっきり言うが立川志らくもそうだった)、
一般的に評価は低い兄弟である。

いつかその悪評をひっくり返さないといけない立場にこの兄弟はあるわけだが、
その解をそれなりに準備し、実践していると思う。

どうも低く評価されすぎではないか、と改めて認識しつつ、
大満足で会場をあとにした。

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