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しずくいし寄席

盛岡市の近隣、雫石町にて「しずくいし寄席」を見る。
町の事業らしく、チケットは前売り1000円、当日でも1500円とお安い。

ホームページの更新が4年前で終わっている「中央公民館・野菊ホール」。
初めて来たが、役場のすぐ近くにある町のホール、という感じ。

開場1時半というアナウンスだったが、
行列に並ぶ人々の寒さに配慮してか5分ほど前にオープン。

キャパ800人のホールは中央の通路をまたいで前と後ろに分かれているが、
なんと後ろ半分はロープで封鎖され、前半分だけにお座りください、と。
そうなると客席は一気に300人ほどに…。
今日のメインが「三遊亭小遊三」とか「林家たい平」だったらこんなことは…
と、余計なことを考えてしまう。

しかし実際には開演直前にロープがやや後方に移動。
最終的には400人ほどが来場したようである。

いままで書かなかったが、きょうのメイン、主任は「三遊亭金馬」。
あの「アハハウフフ」である。
アハハウフフったってヤングな諸兄には「?」であろうが…。
そう書いてる自分も、リアルタイムで見たわけじゃないけど
(後年「志村けんのだいじょうぶだぁ」のコントでパロディしてたのです)。

開演前、周囲の客(想像通り、ほとんどがオジさんオバさんおじいさんおばあさん、である)
の話に耳を傾ければ「お笑い三人組の、ね…」と話しているのが聞こえた。

2時にブザーが鳴り開演。ステージにはキレイな金屏風と高座がしつらえてあり、
「しずくいし寄席」の看板。

拍手されながらめくりをめくったのは「古今亭朝太」。
パンフには「志ん朝入門、志ん朝死去により志ん五門下へ」とあるが
その志ん五も昨年亡くなっている。

ぽてっとしたおなかで貫禄十分だが、まだ二ツ目。
しかし来年真打ちになる、とのこと。
マクラで学校寄席の話などを繰り広げ、
噺の方は「子ほめ」。

岩手に来る前座(朝太は二ツ目だけど)は
たいがい「子ほめ」か「牛ほめ」、「つる」のどれかなんだよね。
この情報を、岩手県に来る若手噺家に教えてあげたい。
まあこの日の「子ほめ」ははしょることもなく、
笑いの方も巧みだったのでよかったけど。

客席を十分温めたところで、
続いては「東京ボーイズ」。
枝豆色の上っ張りで登場したじいさま二人組(笑)。
茶髪のほうは横浜にぎわい座で見たなぁ、なんてことを思い出しつつ。

ネタの方はお得意の「謎かけ問答」。
先々週だったか「真打ち共演」でやったものと大差はなかった。

ただ、ライブとなれば雰囲気で笑わせてくれる。
客になぞかけのお題となる歌手の名前を聞いたり
(そう言いながら「たとえば加山雄三とか」「分かりました、加山雄三ね」
といったお約束的展開で笑わせる)、
「酒井法子、清水健太郎、田代まさし…」「みんな麻薬で捕まったヤツじゃねーか!」
というテレビ・ラジオではちょっとキツいネタも挟みつつ、
最後は「中の島ブルース」で。

15分間のお仲入り。
異様に小便器の多い男子トイレで用を足し、
事務室近くでパンフを仕入れ、給茶機で水分補給(こういうとこは田舎の良さ)。

係員がめくりをめくると緞帳が開く。
中央の高座には釈台が置かれ、座布団の上にはクッション?
そしてきょうの主役・三遊亭金馬。しっかりした足取りで高座に着席。
釈台で足下を隠すが、斜めから見れば確かにあぐらをかいている。

ご存じの方も多かろうが、金馬は「日本の話芸」(=東京落語会)でも、
上方の噺家のように見台と膝隠しを使っている。

で、あぐらをかいてます、とまでは言わないが、
金馬は自ら「足が悪いので…」と説明。

「先生、ひざは治りますか」「若けりゃ治るんだけどねぇ」…
それが当たっているからあの先生は名医だ、と。
その金馬、82歳という。落語協会では最年長。
年齢などでは芸協の桂米丸が上に来るらしいが…

前後するが開口一番、
「90分しかないんだから休憩は要らないと思ったんだけど、
今日のお客様ですと、『お近い』と思いまして…」
これで客の心をつかむ。

「東京から来たが寒いですな」。
よく考えれば雫石町は新幹線が止まる駅、
東京から(盛岡乗り換えだが)新幹線で来れたりする。
意外に便利な場所なのだ。

子供のあやし方は昔からちっとも変わらない、という話題から
噺の方は「藪入り」。ほほえましい噺である。
マクラか噺の導入かあいまいな部分で語った「ねずみ取り」の話題が
サゲで効いてくる、という構成はさすが。

昔はねずみを取ると2銭もらえた。
ペストがはやり始めると2倍の4銭になった。
ペストだけに「倍金(バイキン)」。
今度は1匹持って行くと、5円、10円、15円と当たるようになった。
「チュー選」で…こんな小咄を冒頭部分に振っていた。

また金馬くらいのお爺ちゃんが演ると説得力が違う。
ほんとに丁稚奉公してそうだからなぁ…。
これぞ、ベテランの風格というものですな。

これで、落協の香盤トップ3(圓歌、馬風、金馬)は生で見れたことになる。
特に金馬はいつ見れなくなってもおかしくない。

おかしくないのだが、82歳とは思えぬ元気な語り口。
確かに、毒舌めいたところは一切なくアナクロさは否めないが、
勃興期のテレビでも活躍した「年輪」を感じさせてくれ、
たいへん満足させられる一席であった。

なぜか花束をもらい、金馬ははけていった。
全部埋まらぬ客席も含め、ほのぼのとした牧歌的な催し物…悪くなかった。

今回、談志の訃報を口にする芸人はいなかったことも付記しておこう。

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