« 楽天イーグルスは東北を一つにするのか? | トップページ | 古着の国 »

立川志らくのチャリティ落語会inいわて

こどもの日、盛岡市内で開催された落語会。
東日本大震災からの復興に取り組む「SAVE IWATEプロジェクト」の主催である。

この会の主役は「立川志らく」。

ネット上に残したエッセイは、
「ユーモアたっぷりに他人を攻撃する」キツい文体で、
師匠・談志譲りの「ヒール」っぷりを感じさせる。

そんな噺家が「復興を願って…」というのは、不思議な気もするが、
志らくと岩手のつきあいは長く、
IBC岩手放送でのラジオ番組をもう10年も続けている(注:聴いたことはない)。

といっても、放送局のある盛岡と東京の行ったり来たりが主で、
激甚被災地である沿岸にはあまり土地勘がないようだが、
それでも「岩手のためなら」と、この落語会に出演することとなった。

それに先立ち、弟子の「こしら」「志らべ」、柳家花緑門下の「花ん謝」の3名で
その沿岸部の慰問ツアーを行っている。
「トリ」が本日の落語会、というわけ。

「東北復興支援」と称し、知己の多い宮城と福島を回り、
岩手には寄らずに東京に戻っていった自称「東北通」の噺家もいるが、
志らくクラスで、岩手とつながる噺家もいてくれるのはうれしいことだ。

会場は盛岡市の「岩手県公会堂」。
すぐ隣には、自衛隊の装甲車がものものしく何台も駐車している岩手県庁がある。
この公会堂もまた、一部は自衛隊の拠点となっている。

古ぼけた会館の中にホールがある。外装も内装も、いまにも崩れ落ちそうな建物だが、
今回の地震も耐え抜いた。なにしろ日比谷公会堂と同じ建築家が作った建物だ。

会場は満員。整理券制で、義援金を寄付すれば中に入れる仕組み。

自分が入ったのは30分ほど前だったが、すでに9割方座席は埋まっていた。
なんとか座席を確保。後方だったが、どうにか演者の顔が確認できる席だった。

開演までは会場に懐メロが流れる。志らくのラジオ番組が懐メロ番組だからだろう。
「港町ブルース」から「うちの女房にゃ髭がある」まで。

開演時刻。ラジオ番組で志らくのパートナーを務める
「伊藤美幸」(元IBCアナウンサー)が進行役。

挨拶は「斎藤純」。SAVE IWATEの副代表を務める。
盛岡市民でない人は誰も知らないが、盛岡市民なら誰でも知ってる作家である。
青年然とした風貌で、街おこし・社会活動に熱心なことで知られ、
ジャズや演劇の「うるさ方」としても有名だ。

「この公会堂が満員になったのを見たのは、30年前の『キャロル』公演以来だ」。
この人らしい言い回しで、会場を軽く沸かしたところで、早々に引き揚げてくれた。
挨拶は短く、笑いは長く。

まずは前座ということで、先述の先遣隊、
「立川こしら」「柳家花ん謝」「立川志らべ」が登場。
岩手県の沿岸部を北の久慈市から、南の陸前高田市までツアーを行った、とのこと
(いくつかスルーした町・村があるのが気になったが)。
黒紋付きの紋が茶色くすすけていたのはその証だという。

二ツ目の3人が前座を務める。(長いな…)

こしらは、携帯用ソーラーパネルを懐から出して見せる。
「優れものです。単三電池2個を充電できます。炎天下であれば28時間で」
噺は「子ほめ」、ただし年齢のくだりだけで、子供を褒める部分まではやらなかった。

花ん謝はマクラで淡路島の落語会に呼ばれた話を。
(内容はここに書いてあるのでごらんあれ)
噺の方は「真田小僧」。やはり途中までで、小銭をせびって「按摩」のところで締めた。

志らべは「携帯はマナーモードでお願いします。
緊急地震速報はこちらでお知らせしますので。この会場(公会堂)はちょっと不安ですが…」
マクラ短めで「たらちね」。「サークサクのバーリバリ」などをはしょった省略版。

仲入り後、いよいよ志らく登場。
菅総理や相撲取りの話題をネタに笑わせる。談志のモノマネも披露し喝采も。

「クビになった相撲取りはどうせつぶしもきかないんだから、
独自でプロレス風の興行やったらいい。
子供相手にわざと負けてやったり。『わざと』は得意なんだから」。

「私は200席くらいの噺ができます。その中からどれをやろうかな、と考えてるところです。
こぶ平さん(=正蔵)は3つしかできないみたいですが」でまたひと笑いさせたあと、
「きょうはおもしろい噺と、ちょっとほろっとさせる噺の2席やります」。

こんな小咄も…ということでダイジェスト版でささっと「義眼」を。
「おしりの穴をのぞいたら、向こうからも見ていた」で会場が沸く。

1本目は「長短」。気の短い男と長い男の仕草で笑わせる噺。
お饅頭を食べる仕草や、キセルの吸い方だけでも笑いの起こり方が違う。
なぜかUFOの話まで登場人物にさせる突拍子のなさがいい。

続いての噺はその場では演題不明。八百屋の初老の男が、
貧乏な一家に施しを与えるが、裏目に出て両親が心中。
残された子供を火消しの頭が預かっていて…というもの。

調べたところ、あまり演ずる者はいない珍しい噺「人情八百屋」で、
談志が得意にしているとのこと。まさに「直伝」である。
筋はここに書いてあるが、確かに文章ではその世界観は伝わりにくいかな。

1時間近い熱演のあと、きょうは特別に…ということで、
「ミッキー亭カーチス」ことミッキーカーチスから教わったという、
ブルースハープ(ハーモニカ)を披露。

渡哲也もやってた「ふるさと」と、もう一曲懐メロ。
確か岡晴夫「東京の空青い空」だったかな。
「東京の空がまたきれいになるように…」と言ってたので。

志らくは左手でハンドマイクを器用に押さえながら、
ブルースハープを演奏。一朝一夕じゃできないと思う。芸達者なんだなぁ…

万雷の拍手鳴る中、緞帳が下がり、志らくは座布団に座り直し、頭を下げる。

今回の会はキャパや時間等の問題から、盛岡での開催であったが、
志らくは被災地にも行きたい、と語っていた。

まだ落ち着いて落語をできる状態ではなく、
冗談めかして「(先遣隊の)あいつらだからできたんです」。

復興の願いが実になり、早くこの笑いを被災地にも届けて欲しいものである。
素晴らしい落語会をどうもありがとう!

|

« 楽天イーグルスは東北を一つにするのか? | トップページ | 古着の国 »

岩手県」カテゴリの記事

盛岡市」カテゴリの記事

「芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17134/51590399

この記事へのトラックバック一覧です: 立川志らくのチャリティ落語会inいわて:

« 楽天イーグルスは東北を一つにするのか? | トップページ | 古着の国 »