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【架空】美川憲一・ひとり紅白歌合戦

松の木ばかりが松じゃない…という歌があるが、
渋谷ばかりが紅白じゃない。

今年の大晦日はNHKホールに呼ばれなかった美川憲一が、
密かに自ら“紅白歌合戦”を企画・立案。
坂の上の渋谷に対抗して、谷の底の四谷新宿区民ホールを借り切った。

大晦日…客席は満席。夜8時、ミラーボールがきらめく中、
拍手とともに、総合司会を務める美川憲一が登場。
「ここに来なかった人は、来年どうなるかしら、ねぇ~!」と、
鈴々舎馬風を思わせるトーク・ジャブ。
いよいよ、12時まで続く夢のステージの始まりである。

美川憲一総合司会と書いたが、以降、
出場する歌手はすべて「美川憲一」であることにご留意頂こう。

先行は白組、美川憲一。もちろん「さそり座の女」で。
いまも、美川自身の出囃子と化している。
発表当時と今では歌い方がだいぶ違うところにも注目したい。
はじめはスタッカート気味で正確に歌っていたが、
現在はだいぶゆったりと間を取って、しかしリズミカルに歌っている。

紅組・美川憲一もヒット曲「柳ヶ瀬ブルース」。
舞台は岐阜市ということを知る人はあまりいない。
実は作詞作曲を行った某歌手の、
内省的な思いに地名をあてはめただけだそうで…。

白組2組目・美川憲一で「おだまり」。
IKZOこと吉幾三が紡ぐ、
独特のわかりにくい歌詞とキャッチーなメロディで聴衆の心をグッとつかむ。

紅組の美川憲一も明るい曲調の「幸せになりたい」。
「どうしてワタシは、ついてないの ナニからナニまで、ついてないの」という
取りようによっては微妙な歌詞で始まる。
「ウッ!」というコーラスも軽やかなスロー・マンボ。

攻守交代し、「女の歌」対決。
紅組・美川憲一は明るく「想い出おんな」。
戦前の流行歌を思わせる、やや時代めいたメロディに乗せ、
「いいじゃない、いいじゃなぁぁい~」と女心を描き出す。

いっぽうの白組・美川憲一は「ナナと云う女」。
夜の町に生きる女の悲しい人生をえぐり出す佳曲。

ご当地ソング対決。
紅組の美川憲一、「新潟ブルース」。
ベイスターズは来てくれなかったけれど、面影があればいいのさ。

白組・美川憲一も雪国、「釧路の夜」。
女心も知らないで…釧路はきょうもしばれる。
なお、両曲ともに雪ではなく「霧」の情景だったりするのだが。

ここでアトラクション、応援合戦。

紅組は、はるな愛の招聘を予定していたがスケジュールはすでに埋まっており、
急遽、美川の家僕、桜塚やっくんにオファー。久々の仕事だと鼻息荒く登場。
得意「スケバン」ネタを披露するも、失笑のほうが目立つ客席。

「なんだよ!! 恥かかせんな!! 顔が真っ赤になっちゃったじゃねーか!」と、キレるふりをしながら、
「真っ赤…? そうか、赤だ! 紅組の勝利だ! バンザーイ!」と、ここでシメればよかったものを
「整いました!」と今さら謎かけ。「紅組とかけまして、入浴ととく。
その心は…“あか”を落とすのが大事でしょう…あっそれじゃ白組だ」と
やはり女装キャラでしかないことを露呈。ますます顔を赤くしてソデに引っ込む桜塚であった。

白組の出し物は、神田うのによる模擬結婚式。新郎役は美川が相務める。
「貧乏な下級市民のみなさんもパチンコエスパスに来てね~!」と
パチンコ玉をあしらったドレスを重そうにひきずりながら、
「白く光るパチンコ玉は、集めて換金できるから白組の勝ち~」と
ストッキングの袋を3つか4つ客席に乱暴に投げつけながら、
うのは豪邸に消えていった。今夜は金箔入りの年越しソバでもすすりながら、
懲りずに続ける結婚式の相談でもするのだろう。

格差社会を見せられた後は、陰鬱曲対決。
紅組・美川憲一「お金をちょうだい」。
今年鬼籍に入った星野哲郎による詞。
どんだけアップテンポにしても、EXILEには歌えまい。

白組・美川憲一は陰惨の真打ち「三面記事の女」で客がどん引き。
ドラマの巨匠・久世光彦による歌詞はとにかく凄い。ホラーの世界。
AKB48なんて生ぬるい。何がアイウォンチューよ。こっちは自殺未遂よ。

紅組・美川憲一も負けじと久世光彦で「スカーレット・ドリーマー」。
まれに見るロック風味の珍曲である。作曲は都倉俊一。
一部を除き、全く世に知られていない曲であるが、客席は盛り上がること必至である。

有名人作品なら、ということで白組は美川憲一「」。
松山千春の作品である。
歌い出しが「愛の地獄で…」。
美川にピッタリの世界観を持つ詞と曲に仕上がっている。
千春が、美川さんも俺のようにスッキリと…と言ったかどうかは定かではないが。
なお編曲は服部克久である。

ここで「MHKニュース」コーナー。
美川憲一・今年の十大ニュース。「新しい冷蔵庫買ったのよ~」
「思い切って50型の液晶テレビ買ったのよ~」
「うのとハワイに行ったのよ~」などのどうでもいい情報を。

再度攻守交代、ひきつづき白組の美川憲一は、
紅組に負けじと女歌を繰り出す。「おんなの朝」。
夕べあんなに燃えながら、男は背中を見せるだけの、一夜の恋。
時刻はそろそろ夜12時だが、女の夜明けも、そろそろね…。

つめたい男には返す刀で斬りつけろ。
紅組は美川憲一で「双子座生まれ」。
作曲は「さそり座の女」と同じ中川博之。
「星座シリーズ」を作ろうとしたらしいが、この2曲で終わっているのがなんとも…。
ちなみに美川自身は「おうし座」生まれである。

いよいよトリ対決、白組美川憲一は「駄目な時ゃダメよ」。
実は泉ピン子のカヴァー。「ハニーシックス」の三浦弘の作。
一時どん底を見た美川が再ブレイクを果たした時期のリリースであり、
バブルな雰囲気も漂うが、人生の儚さ、無常観も表現している。

白組トリということもあり、ここまで封印してきた“豪華衣装”を披露。
エリカ様にひっついていた奇妙なオカマ軍団を引き連れて、
上海万博の日本館をイメージさせる全長10mに渡る巨大装置の中で、
奇妙な形の帽子をかぶった美川が下からせり出してくる趣向。

歌い終わり「駄目なときゃ、だめよ~」と美川がつぶやくと、
「パーン!」とクラッカー音とともに金銀のテープが観客席に広がった。

まだ「ゆく年くる年」には早い…。
これに紅組の大トリ・美川憲一はどう返すか!?
やっぱりこれしかないだろう、「さそり座の女2010」。
総勢100名のコーラス隊を従えた壮大なイントロの中、
美川とともに、コロッケ、そのまんま美川、葉月パルが勢揃い。
「ゲゲゲの美川よ~」と三者三様の妖しさを表現。

コーラス隊、美川隊、そして美川本人…
四谷区民ホールのカオスは頂点に達しようとしている。

「一途な星よ~」と美川が万感の思いを胸に歌いきるその後ろで、
低音花火がバシャバシャと火花を飛び散らす。

パルは「へっぽこへっぽこピー!」と繰り出せば、
コロッケも「あっぷるるる~」と千昌夫になったり、
鼻をほじった指を口に入れたりとやりたい放題の
大荒れのステージで、2010年は幕を閉じようとしている。

客席からは万雷の拍手がいつまでも鳴り止まなかった。
いつしか、遠くから除夜の鐘が…。

2011年こそ、渋谷で歌え、美川憲一!

…え、勝敗は、って?
全部美川本人だからつくわけないでしょうが。

※この文は、フィクションです。

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