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BSおすすめ番組撰(1)吉田類の酒場放浪記

韓流、買い物、退屈な番組…それが世間のBSデジタル局に対する評価。
それなのに、最近よくBSデジタルを見るようになっている。
といっても、数えるくらいなんだけど。

月曜日のお楽しみは「吉田類の酒場放浪記」(BS-TBS)。

(原則)東京23区内の煤けた居酒屋を、ヒゲのおじさんが訪れる、という
他愛のない番組であるが、これが実にくせになる。

番組は15分番組を4本まとめて1ユニットにして放送している。
新作は2本だけで、あとは数年前に撮られた2本の再放送を組み合わせている。

再放送の中には「閉店済み」なんてのもあったりするが、
この番組はグルメガイド番組ではない。
進行役兼レポーター・吉田類の酔いっぷりを見る番組なのだ。

俳句やエッセイで食べている(呑んでいる?)人らしいが、
この番組の主役が、まさに適役なのである。

安っぽい居酒屋ののれんをくぐり、カウンターにちょこんと座り、
タバコも吸わずホッピーや焼酎でのどを潤し、
もつ煮込みだの、切り干し大根だの、
庶民の味をさもうまそうに口に運ぶ。

当然、味のレポートはする。
もちろん言葉で喰ってる人だから表現はうまい。
まさに「下町のエヴァンジェリスト」である。

ハイビジョンで撮られた映像も、
チープでリーズナブルな料理の魅力を見事に伝える。

吉田は店主には常に敬語しか使わない。
しかしこういう人こそ、酒をよく呑むはずなのだ。

カウンターでは隣の席の常連に話しかけ、
物足りなければテーブル席に乱入しおこぼれにあずかる。

それでも敬語にこだわる吉田には、なれなれしさは感じられず、
誰とも適正な距離感を漂わせる。正しい酒飲みの姿である。

そしてちょうどいいところで店を出て、
スタンバってたカメラに向かってシメコメをして、
「じゃあ、もう一軒…」と言って、別のネオンの方へ歩いて行く。

そこに、吉田のしたためた句がテロップとナレーションでかぶせられる。
ヴォキャブラリーが豊富すぎて、
トーシロには意味不明な言葉も織り込まれた句は、
そんな「下卑た」町並みの映像に、なぜかしっくり来るのである。

番組冒頭部には、吉田のナヴィゲートによる、
とってつけたようなプチ地元情報部分があって、
これもなんだかミニ「ぶらり途中下車」的なテイストがあって実によろしい。
この昼ロケが、夜の酒場の映像をグッと引き立たせる。

こんなゼイタクな15分番組を一気に4本も見せられると、
当然誰でも酒が飲みたくなるだろう。

でも、飲みながら見るのは勧めない。
この番組は「シラフ」で見るのが面白い。

*いつもビールかポンシュかショーチューか、という番組ゆえ、
 ナレーターが赤ワインをして「カルベネ・ソーヴィニヨン」と
 言い間違えていたのはご愛敬、か。

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