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幸見の夕刊テレビ(3)

前回のつづき

IBCは、その豊富な経験を生かした番組作りを心がけた。
地元劇団が演じるスキット(ミニコント)による法律相談、
幸見アナお得意の方言詩朗読。
そして親会社・岩手日報社にカメラを置き、
デスクによるニュース解説コーナーも設置した。
『岩手の情報は、やっぱりIBC』…同社の自負がにじみ出ていた。

しかし、それらは裏目に出た。
内容が堅すぎたのだ。

「5きげん」は先述のように、料理コーナーや中継コーナーなど、
ソフトでわかりやすく、主婦層にもウケる、「面白い」番組になっていった。

いっぽうの「夕刊テレビ」にはそんなサービス精神がなかった。
土産土法。いわてのものを、イワテらしく、岩手の視聴者に伝える。
それが受け入れられるはず…だった。しかし、それはIBCの独りよがりだった。
IBCの取材力、ネットワークさえあれば、
よそには負けない、という思い上がりだった
(当時のIBCの考え方は、伊藤裕顕氏の著書に詳しい)。

まじめくさった「夕刊テレビ」には田舎臭い面もあった。
ラジオで培った「土のにおいのする番組作り」を前面に押し出してすらいた。
牧歌的なテーマ曲(佐藤将展氏のサイトに残っている)、
奥行き感のないスタジオセットもそんな野暮ったさを体現していた。

ラジオで鍛えられたIBCは、年寄りに受けるものを作るのは得意だったが、
この時間帯には「若い奥様」、そして隠れた顧客である「中高生」にも
受け入れられなければならなかった。
しかし、その層へのマーケティングをしていなかったに等しいIBCには、
そんな芸当はできなかったのだ。

いっぽうの「5きげんテレビ」は軽いノリで、地元密着の情報を伝える。
転勤族の奥様にもすんなり受け入れられただろう。
司会を務める平井アナの
さわやかさ、お兄さんっぽさも、岩手の視聴者には受けた。

同じ種類の番組の制作ノウハウを持つ、
日テレ系の「ソフトパワー」という武器も5きげんにはあった。
東北のスター・さとう宗幸が仙台のスタジオから登場するなど、系列局の協力体制もあった。

IBCは、予想以上に恐ろしい敵を、見くびっていたのかも知れない。

つづく

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