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特命転勤 毎日新聞を救え!

吉原勇著、文藝春秋刊。
著者は毎日新聞の元記者。
大阪本社経済部デスクから東京本社経営企画室に異動となり、
「大阪本社敷地売却・新本社建設プロジェクト」の主導役となる。

大阪本社の老朽化のため、現在地の土地を売却し、
新しい土地を手に入れて新社屋を建設する―。
もとより余裕のない毎日新聞社にとっては
社運をかける大仕事である。

「記者」らで結成される「経営企画部門」。
政治家、国の役所、不動産会社などと
『取材対象』として接してきた元・記者たちは
(言い方は悪いが)『裏から手を回す』ことが可能であるため、
新聞社にとっては土地の売却・購入などお手の物なのである。

そうはいっても、相手のある話。
しかもその相手は多岐にわたる。
国から払い下げされた土地を蹴って新しい土地を手に入れなければならず、
新聞社といえども、プロジェクトは難航を極めた。

会長の死、社長の体調悪化。低空飛行は続く。
人脈を通じ、当代の大物政治家へアタックしたり、あえて避けたり。
政治部という敵が社内にもいたが、
ベテラン経済記者の著者は危ない橋を堂々と渡っていく。
とくに、緊迫感あふれる国の役人とのやりとりは面白い。

著者の口によって、いささかダーティなやりとりもつまびらかにされていく。
最終的には、毎日新聞は社説に書いたことと矛盾する行動を取るにまで至る。
いまの弱小ぶりから、『庶民の味方』というイメージのあった毎日新聞だが、
やはりパワーゲームと無縁ではいられなかったのだな、と認識を新たにした。

「毎日新聞を救う」ための「駆け引き」の痛快さと、
「市民の木鐸」が使う「卑怯な手口」の不快さの奇妙な同居―。

しかし事態は、意外な方向に動き、
影響は日本経済にまで及んでいく。あとは、本を開いて欲しい。

日本の裏側をのぞき見できる一冊である。

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