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千夜一夜物語

モンキー・パンチ「千夜一夜物語」(嶋中書店)を読む。
漫画はふだん一切読まないが、「ルパン三世」でおなじみ
天下のモンキーパンチ先生なら別。

「アラビアンナイト」をモチーフにした漫画を執筆しているという話は
10年くらい前から聞いていたが、じつはもう形になっていたのだ。
帯には「構想20年」とあり、
雑誌に連載したのは1998年から1999年。単行本化は2004年。
まさに「千夜一夜」である。

画風は20年前の「アニメチック」な絵のまま、
40年前のルパン初期のような精緻な筆致で描かれている。
あまりの多忙さにコマが真っ白だった
「アニメチック」時代のモンパ作品を知る身としては隔世の思い。

というか、モンパ先生の「絵が描きたかった」思いが爆発している。
コマ割りも独特で、大きな絵の上に、
ポツポツとコマが浮かんでいるようなページが続き、
話の筋が分かりにくいほど。
それくらい、「絵」が主役の漫画になっている。

モンパ作品ではおなじみの淫靡なシーンも登場するが、
「♂」マークと「♀」マークの輪っかがからみあって…みたいな
あからさまな描写はなく、女性の美しい裸体だけが印象に残る。

またモンパ御大お得意の「Mac」を存分に使用したと思われる部分もあり、
モンキーパンチエキスがプンプン。
ただひとつ難を言えば、「擬音」が「変形した勘亭流」で表現されているのが
お間抜けに見えるところくらいか。

話の展開は最初はややぬるいが、
だんだん重苦しくなっていく。
正義に満ちあふれた二人の兄弟王だが、女たちの不貞に触れ、
さらに怪物に匿われた美女を半ば強制的に抱いたことをきっかけに心がすさみ始めていく。

ところがだ。
単行本の後半は動物と農夫の寓話にページ数が割かれ、
結局本筋が面白くなりそうなところで、
一巻の終わりとなってしまうのだ。
間違いなくこの後もお話は続くのである。

本の最後には「続刊鋭意執筆中」とあるが、連載終了から7年。
今もなお、あれこれ仕事を抱える上に勉学にも励むモンパ先生、
筆を執っているのかどうか…。

そんな「モンキーパンチ多忙物語」のお話でした…
って、それじゃ許しませんよ、先生!
(でもそういえば「モンキー・パンチ」ってもともとは加藤兄弟のペンネームだった気もするけど…)

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