« ルパン三世'71 ME TRACKS | トップページ | 無駄な買い物? 旅心? »

生きる方言、死ぬ方言

きょう吉野家に行ったら、明らかな関西弁を話す若い家族連れがいて、「めっちゃキビしいやん」とか話しているのが聞こえた。

知り合いが店内に入ってくるとお母さんが「きょは50円引やってきいたから~」(太字アクセント)と大声で話しかけていた。店を出る時にお父さんが「おあいそ!」と叫んだ。ここは飲み屋かいな、と心の中で(関西弁で)突っ込んでおいた。

ちなみに父母は関西弁だったが、子供は関西弁ではなかった。おそらく「転勤族」なのだろう。

そういえば東京でも関西弁はよく目立つ。たとえばデパートなんかでも、店員も客もみんな標準語を話すのに、関西弁だけは「このお菓子ええやん」「めっちゃカワイいわ~」という感じで、聞こえてくる。

しかし東北弁や九州弁、名古屋弁らしき言葉はほとんど聞かれることはない。観光客なり出張客なり、関西以外からも来ているはずなのにだ。

関西弁だけは、東京でも岩手でも許される「第二の標準語」なのかもしれない。

岩手弁とか盛岡弁を残そうと活発に活動している人々がいるし、東北、九州などいろいろな地域に方言を後世に伝えていこうとがんばっている人も大勢いる。

しかし、残念ながら東北弁や九州弁など「田舎者の言葉」は死んでいく運命にあると思う。方言を話すことは「おれは田舎者だ」と書かれたハチマキをしめて歩くような行為だからだ。

いまでこそそんなことはないが、ウン十年前までは「方言を矯正する教育」が本気で行われ、それにもかかわらず上京後も方言が抜けず、悩む地方出身者もいたわけだ。(もちろんそれを武器にした人もいるかもしれない)

それがいまは、東京ならいざ知らず、岩手にいても、若い子供たちが渋谷あたりにいるような女子高生と同じような会話をしている。方言らしい言葉やイントネーションは(自分が聞いている限り)聞かれない。

ところが関西弁だけはどこでも元気だ。関西弁=「田舎者の言葉」ではないからだろう。

たとえば大阪出身、京都出身、と聞いてもウワっ田舎者だ、という人はいない(逆に和歌山出身でも「大阪の方の出身です」とゴマかすことができる)。

テレビの影響も大きい。明石家さんまに代表される「上方笑いの巨匠」たちが、「でんがなまんがな百連発したろか」など多少誇張した面はあれど、関西弁を世に認知させることに大きく貢献した。

それ以前に、先に紹介した家族のように、岩手にいながら臆面なく関西弁を話すような、関西人の「バイタリティ」「メンタリティ」は、東京モンにもマネはできない。

テレビの影響と言えば、逆に東北弁などの地位を下げることにも貢献しているような気がする。方言を話す老人の表情の上に標準語のテロップをかぶせ、バラエティでは笑い声の効果音をつけ、嘲笑う司会者(それがさんまだったりする)の表情をワイプで入れる。

そうか、ズーズー弁ってダメな言葉なんだ、という教育をするにはもってこいの教材ではないか。学校の先生が「ズーズー弁はダメです」と教え込むより効果がある。その教育の結果は、岩手の子供たちが証明している。

正直「なんで関西弁だけ」という思いはあるが、「関西人に東北人も学ぼう」という気もない。東北弁や九州弁が死んでいくのは(今の世の中なら)当然のことだと思う。もったいない、非常にもったいない話だが、たぶん打つ手はないだろう。

東京ではちょっと前に方言ブームが来てたらしいが、しょせんブームで終わるだろう。だって、本場ですたれ始めているのだから。

(参考)そうか、「関西へのやっかみ」「東京への敵対心」か。→LOOSE TRAP

|

« ルパン三世'71 ME TRACKS | トップページ | 無駄な買い物? 旅心? »

「旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

思わずリンク&トラバしてしまいましたが…
寂しくさせてしまったようでゴメンナサイです。
東北弁を愛してくださってありがとうございます。
なんですが、地元民がそれほど東北弁を愛してない現状は、
ホントーに申し訳ないです・・・

投稿: たかはし | 2006.03.28 22:26

リンクしていただいたLOOSE TRAPです。はじめまして。「まいど」とでも申しましょうか。

いやー「死ぬ方言」なんておっしゃいますが、絶対に殺しちゃダメです方言は。それはその土地の文化を本当に殺すことにつながりますよ、大変なことです。このエントリはフト耳にされた関西弁への違和感からおっしゃっていることだと拝察しますが。

方言が弱まる元凶はテレビですが、各地方のテレビが弱すぎるから……ローカル制作ローカル視聴のテレビ・ラジオ他のコンテンツがダサすぎつまんなすぎる(東京にヤられすぎる)からでしょうね。テレビが悪いわけじゃない。地方テレビ局が、地方制作番組にカネを出さない地元企業が、要は地域住民が悪いのです。悪いというか、メディアの威力を考えないまま東京の流れに流されて今日に至っているというか。

東北弁LOVERとしてはこういうオハナシからリンクされるのは淋しいわけですよ。ああっ、わたしは東北弁が大好きだ! しゃべれないけど。とりあえず『釣りキチ三平』の再アニメ化あたりから働きかけてみませんか。

投稿: 五合 | 2006.03.26 22:42

きょうちょっと書き換えました。参考になるブログも見つけました(文章の最後に紹介してあります)。

テレビなんかでも顕著な田舎を見直そうという動き
が、地方に広まればブレイクスルーにはなりそうですが…

東京の研修会に出席した際、静岡あたりの人から「岩手弁しゃべってみてくださいよ」と聞かれたことがありましたが、
東京では標準語が頭をもたげて、やっぱりしゃべれないんですよねぇ。

方言を守ろう!と口で言うのは簡単ですが、方言を話さない大人、方言を話せない子供を見るにつけ、
道は厳しいと思うわけです。

投稿: たかはし | 2006.03.26 11:44

最近仙台ではまた仙台弁がCMなどで使われてきました。
けっこう地元テレビでも方言コーナーとかでとりあげられてますし、地元製作番組ではパーソナリティの人が方言を使っています。

昔の方言矯正教育では、方言というより地方のなまりのアクセントで話す標準語が田舎者を強調してしまった気がします。

バイリンガルのようにTPOで使い分けるのがいいんでしょうかね。

投稿: 傷だらけの天使 | 2006.03.26 02:39

お初です。テロップかけて笑い転げているのは好きではないです。我が家では方言も個性だと教えており、深夜番組の「なまり亭」や、地方色豊かな「田舎に泊まろう」は録画しておいて、家族で見ています。東京で勤務しているけど、意外と関西弁以外の方言やなまりが飛び交っています。電話で「○×でした」とかいうと、大体、当方地方の方は反応しますね!

投稿: 喜音家蜻蛉 | 2006.03.25 16:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17134/9249235

この記事へのトラックバック一覧です: 生きる方言、死ぬ方言:

« ルパン三世'71 ME TRACKS | トップページ | 無駄な買い物? 旅心? »