ルパン三世クロニクル バビロンの黄金伝説
「ルパン三世」テレビシリーズ・および映画の劇伴音楽をコンプリートするシリーズ「ルパン三世クロニクル」もいよいよ大団円。1985年度の映画「バビロンの黄金伝説」のテーマ・BGM集である。
「バビロンの黄金伝説」は、当時放送中であったテレビシリーズ「ルパン三世PARTIII」の延長線上にある作品である。鬼才・青木悠三が描くいわゆる「ピンクルパン」がコミカルで大仰なストーリーのもと大活躍する。名目上の監督に鈴木清順(実質的監督は吉田しげつぐ)。脚本は鬼才中の鬼才と言われる浦沢義雄。しかし、テレビシリーズと並行する制作作業のあまりの過酷さに浦沢は現場を逃げ出し、以降は同じ清順組の大和屋竺(あつし)が加筆したと言われている。
テーマ曲を歌い、ヒロインも演じた河合奈保子(ヒデキの妹)をはじめ、塩沢とき、カルーセル麻紀、おぼん・こぼんといったタレント声優を起用、楽しい作品に仕上がっている。映画を見終わった後は「何も残らない」ドンチャカ映画でもあるのだが、それもまたルパンらしい。
さて、大野雄二御大。80年代らしいピコピコサウンドを大野御大も積極的に採用している。これはテレビシリーズ「PARTIII」も同様であるが、読売テレビ主導のPARTIIIに対し、「バビロン」は日本テレビも参加していたため、権利関係上、テレビ用の音楽を流用することができず(一部しちゃっているようだが)、映画用に書き下ろしている。その音楽がこのCDに集められている。
映画の内容同様、ファンキーな曲が多く、さらにすべてピコピコテクノのため、大野御大お得意のジャジーなサウンドはなりをひそめ、バブルまっただ中を思わせる、軽いノリの曲が多い。CDオビにもあるとおり「ルパン・ザ・80s」なのである。
ただ物足りないかと言えばそうでもない。いかにも「スポーツニュース」とか「世界大富豪クイズ」みたいな番組のBGMっぽい曲や、「小さな旅」を思わせる曲もあり、テレビテーマの巨匠としても鳴らす大野御大のエキスが濃縮されているといえる。
先述の河合奈保子は可憐な歌声で御大の要望に応えている(演技は下手でしたがね)。テーマ曲「Song of Babylon」は、叙情的な、典型的大野メロディ。マザーグースを引用した英語の歌詞を、河合は透明感のある声で歌う。ハミングバージョンも聞き物だ。
ビッグバンドでこれでもかと押しまくる「新ルパン」(いわゆる赤ルパン)のサントラともまた違う魅力が感じられる。シンセドラムの多用に軽薄さすら感じさせる80年代の大野音楽は、実はあまり好きではなかったのだが、このCDを聞いて考えを改めさせられた。
なお、「ルパン三世クロニクル」完結に当たり、「新ルパン」のBGMで前作までに入りきらなかった5曲が末尾に無理矢理?押し込められている。ダメだよ幹雄ちゃん、と思いつつ、「バビロン」のたった5年前はこんな曲を書いていたんだな、と大野音楽の幅の広さに気づかされる。
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