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異常なる音楽評論シリーズ ディスコ歌謡ビクター編

 酸味の強いコンピを次々と打ち出すブルースインターアクションズ(また「幻の名盤」ボックスを出すそうだが…)が3年前にリリースしたシリーズ中の一枚。70年代のディスコブームに乗じた迷カヴァーや、インスパイアされまくりの名曲・珍曲が続々登場。噛めば噛むほど味の出る一枚だ。

 最初のトラック(1)からぶっ放しだ。「ビューティフルサンデー」のさわやかお兄さん・田中星児が「ザッツ・ザ・ウェイ」をアハアハと歌いこなす。当然セクシーになるはずもない。親戚のグッチ裕三の方が数倍巧く歌えそうだが、そこはそれ。星児によって「さわやか一本漬け」された独特の世界は、日本の朝の食卓だ。(14)「ビバ・アメリカ」はそれほどでもない。

 うっかりヒット曲になってしまった「ジンギスカン」がサクッと料理されている(2)。「原たかし&バットマンズ」が、高田弘のアレンジにマヌケな日本語詩を乗せ、華麗に歌う。ドイツ語を無理に英語に変えているところもナイス。

 CDのタイトルにもなっている「ハッスル・ジェット」。巨匠・筒見京平の「ドクター・ドラゴン」名義の作品。インストゥルメンタル(3)と、ヴォーカル(15)の2曲を収録。往年の「シェリー」(推定少女はどこいった)がさっぱり味で歌ってます。収録されていないが、浅野ゆう子版が有名だとか。

 隠れた名アレンジ、(4)「ヘイ!ミスター・ヨサク」。日本全国酒飲み音頭とは関係なさそうな「バラクーダ」なるユニットの手によるもの。「与作」はもともと叙情フォークだから、ディスコアレンジにも合うのだ。

 インビテーションレーベルから参戦は、我らが松崎しげるの(6)「銀河特急」。筒見京平の奏でる小じゃれたサウンドにしげるの歌声が若々しい。いまや「歌うタドン」と化したしげるだが、この頃はまだまだ青い、いや白い。「六花亭のモカチョコレート」程度か。

 ダサカッコイイ(7)「リップスティック」。「ブベッベッブベッベッ」「テケテケテケ」「ドッドズドッドッ」など、小うるさいサウンド満載。エレキにストリングスにホーンセクションに女声コーラス…ゴテゴテとデコレートされたオケにノリノリの桜田淳子の歌声が愛おしい。

 (9)「太陽は泣いているセンセーション'78」。いしだあゆみのカヴァーだが、ディスコと言うよりはタンゴ? オリジナルの筒見京平自らリアレンジ。

 同じ78年の作品では、このCD最大のヤマ場とも言える、(12)「股旅'78」が控える。橋幸夫が新境地に挑んだ「SF股旅歌謡」は、阿久悠入魂の詞に、故・井上忠夫(大輔)の西部劇調サウンド。それを高田弘がバサバサ斬りまくる。

その次の(13)「ディスコ芸者」も捨てがたいニオイを放ちまくる。「はん子」が有名な神楽坂一門?であるが、独特の芸者唱法でテケテケサウンドを軽くあしらう。あかのたちおの名仕事。

 ほかにも歌手や作曲者・編曲者には「麻丘めぐみ」「アン・ルイス」「馬飼野康二」「山下達郎」などの名前が見られる。ラストトラックのポルノ女優の独りしゃべりがちと余計であるが、全体的には佳曲ぞろいの一枚である。
 今となってはどことなく牧歌的ですらある70年代のディスコサウンド。それを和風にしちまっているのだからますます「ほのぼの」するのだが、そこがいいじゃないか。ギラギラビカビカ光ってた70年代の輝きのあだ花は、こんなにきれいに咲いている。

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